第5号目次
鳥取方式の特徴とシビルまちづくりステーションの取り組み 増本 祐一
鳥取方式は、NPO法人グリーンスポーツ鳥取(以下GSTという)の進める芝生化方式であり、2006年の芝草学会で発表され、今や全国に1000箇所までに広がっている。私は鳥取県に在住しているが、2010年から、この鳥取県でも本腰を上げて取り組み始めている。この方法は「鳥取方式」として特許庁に商標登録され、「園庭・校庭・競技場・グランド・公園・空き地・河川敷の芝生化に関する指導・助言。園庭・校庭・競技場・グランド・公園・空き地・河川敷の芝生の維持管理に関する指導・助言」ということになっている。「鳥取方式」=「ポット苗方式」ではない。
鳥取方式の芝生化には、ポット苗、ロール、ビックロールなどの施工方法があり、芝生化の面積や利用形態によって、これらを使い分けている。ポット苗方式が全国に広がっていく中、なんでもかんでも(どんな条件でも)この方式が採用され、失敗例が聞かれるようになってきている。特に、低価格ということで行政が後先考えずに飛びつき、失敗や誤解を招いている。こうしたことが商標登録を行った経緯と聞いている。つまり、芝生化の手法はどうでもよく、「全ての子供達に芝生のグランドを」ということが鳥取方式の基本理念だ。
私は、シビルまちづくりステーションに所属しているが、鳥取県在住ということもあり、どちらかというとGSTの会員として活動していることが多い。その活動は、県内の小学校・保育園・幼稚園・空き地などで、年々忙しくなってきている。
今、GSTは維持管理に軸足を置き、芝刈・施肥などの維持管理は、教員や保護者などのボランティアで行うのではなく、行政がキチンと予算化し、有償で行うよう働きかけている。有償と言っても芝生専門の維持管理会社に委託するのではなく、地域のそれなりの人材(シルバー人材など)にお金を払ってやっていただこうというもので、あくまでも低価格を目指し、NPOはその指導・助言を行う。なぜなら、日本全国の小学校が芝生のグランドを持つには、保護者等によるボランティアだけでは無理であり、今のままでは一過性のものになりかねない。「全ての子供達に芝生のグランドを」という夢は実現困難になる。
私は、この芝生化活動において、維持管理の大切さを痛感する。ポット苗を使えば誰でもグランドの芝生化はできる。しかし、維持管理の作業は脚光を浴びない地味な作業であり永遠と続く。この永遠と続く作業を無償でやり続けるためには、相当の勇気と覚悟が無ければならない。今年、中庭の芝生化を支援した小学校で、教頭先生との会話が印象に残った。今年は猛暑で2学期のはじめも相当暑かったが、芝生のおかげで涼しくなったとのことであった。私は“今度はグランドですね”と言うと、教頭先生は“エアコンを付けるのが先かな?”という返事が返って来た。この時、私は小学5年生になる娘が、暑さで給食を食べることが出来ないという話を思い出し、教頭先生の話に納得してしまった。それと同時に、この国で、全ての小学校のグランドが芝生になるのはいつになるだろうと思っ
た。